「使途公開」領収書が焦点=現状追認、懸案先送り―文通費改正法成立 2022年04月15日

 国会議員に毎月100万円が支払われる文書通信交通滞在費(文通費)を在職日数に応じた日割り支給に改める関連法が15日に成立した。支給目的も拡大し、幅広く使える現状にお墨付きを与えた。一方、使途公開や未使用分の国庫返納といった懸案は先送りされた。与野党は今国会中に結論を出すことを目指すが、焦点の領収書添付などをめぐり調整は難航必至だ。
 現行の国会法と歳費法は文通費について「公の書類を発送し、公の性質を有する通信をなす等のため」に支給すると規定。ただ、使途報告の義務はなく、領収書提出も不要。秘書給与や飲食代などにも使われているのが実態だ。
 法改正により名称は「調査研究広報滞在費」に変わり、目的も「調査研究」「広報」「国民との交流」「滞在」などとなる。現状を追認するもので、有権者から「お手盛り」批判が出そうだ。
 日割り支給への変更などを優先したのは、参院石川選挙区補欠選挙の投開票が24日に迫っているため。現行制度では月のうち1日でも在職した議員に月額100万円が満額支給される。改正法は来週中に施行され、補選当選者の4月分は日割り支給となる方向だ。
 与野党は21日、残る懸案を議論するため協議会を開く。ただ、昨年の臨時国会では使途公開の在り方で与野党が対立、合意が見送られた経緯がある。一致点を探るのは容易ではない。
 立憲民主党、日本維新の会は領収書添付による使途公開や未使用分の返還を義務付ける法案を議員立法で提出しており、与党に実現を迫る構え。立民の泉健太代表は15日の記者会見で「まずは(日割り)という理解だ」と強調。維新の藤田文武幹事長も会見で、使途公開と未使用分の国庫返納が「本丸」と指摘した。
 自民党は領収書添付に否定的だ。国対幹部は使途公開そのものは「合意できる」と自信を示すものの、領収書の提出や適正かどうかチェックする体制の整備については「事務作業が膨大になる」ことを理由に「難しい」と明言した。使途が明かされたとしても、適正性を検証できる仕組みや、目的外使用と虚偽報告への罰則がなければ「ざる法」となる恐れがある。 

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国会議事堂(資料写真)
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