大企業景況感、7期ぶり悪化=資源高、先行きも警戒―日銀短観 2022年04月01日

 日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業の製造業、非製造業ともに昨年12月の前回調査から下落した。新型コロナウイルスの感染再拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵攻で原材料価格の高騰に拍車が掛かり、景況感は7四半期ぶりに悪化した。先行きのDIも低下し、資源高などの長期化に企業が警戒感を強めていることがうかがえる。
 大企業製造業のDIはプラス14(前回プラス17)、大企業非製造業はプラス9(同プラス10)だった。DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。
 大企業製造業の景況感は、原材料高騰を背景に、「紙・パルプ」や「食料品」のDIが大幅に下落した。「自動車」は半導体不足で7ポイント低いマイナス15に落ち込んだ。
 大企業非製造業は、コロナの感染者数が高止まりしたことで、対面型サービス業の景況感が落ち込んだ。遊園地や旅行業などの「対個人サービス」は12ポイント減のマイナス14だった。
 1年後の物価見通しは全規模全産業で前年比1.8%(同1.1%)、販売価格の見通しは2.1%(同1.2%)と、それぞれ大幅に上昇。ともにこれまでで最も高い伸び率になった。既に生活必需品などが幅広く値上げされているが、大企業は仕入れ価格と販売価格がいずれも上昇傾向にあると受け止めており、消費者への価格転嫁はさらに進みそうだ。
 全規模全産業の2022年度の想定為替レートは1ドル=111円93銭。現状は122円台と大幅に円安が進んでいる。輸出企業は利益が膨らむと期待できる半面、原材料の輸入コストが一段と膨らんで利益がさらに圧迫されると懸念する企業も多い。
 日銀は今回から調査対象企業を見直した新基準を適用した。調査期間は2月24日から3月31日まで。 

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