ガソリン価格、9週連続上昇=補助金、来週にも上限―米がロシア原油禁輸、先行きに懸念 2022年03月09日

 経済産業省が9日発表したレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格は、前週比1円80銭高い174円60銭と9週連続で値上がりした。世界同時不況をもたらしたリーマン・ショックが起きた2008年9月以来の高値を受け、政府は価格高騰抑制策の補助金額を見直し、10日から各油種1リットル当たり前週比12円70銭引き上げ17円70銭とする。17日にも上限の25円に到達する情勢だ。
 足元の原油価格は、ウクライナ侵攻に対する米国のロシア産原油の禁輸措置などの影響で、一段と高騰している。政府は補助金で消費者の負担を抑える政策を採るが、ウクライナ情勢の動向次第で原油高が長期化する可能性があり、ガソリン価格の先行きに懸念が強まっている。
 地域別のガソリン価格は、滋賀を除く46都道府県で上昇した。最高値は長野の182円60銭で、長崎、鹿児島、大分も180円を超えた。灯油の給油所店頭価格は18リットル当たり2060円で、前週比27円値上がり。来週は原油価格の上昇分が補助金で相殺されるため、ガソリン、灯油価格ともに横ばいとなる見込み。
 政府は補助金制度を3月末までの時限措置として1月に発動したが、想定外の原油高で開始から2週間で上限の5円に到達。3月10日から上限を25円に上げる決定をしたばかりだ。17日以降の補助金額は、10日からの補助金額に原油価格の変動を加味して決めるため、足元の水準が続けば上限に達する。
 国際原油市場をめぐっては、米国がロシア産原油の輸入を即時禁止すると発表。英国も年末にかけて段階的に停止するほか、英石油大手シェルが調達を全面的に止めるなど、需給がさらに逼迫(ひっぱく)する恐れがある。業界からは「米国がシェールオイルの大増産に踏み切るなどしなければ、原油価格の上昇は続く」(関係者)との声が出ている。 

特集、解説記事