長期金利に上昇圧力=一時0.2%、6年ぶり高水準―くすぶる日銀の政策修正観測 2022年02月04日

 世界的にインフレ懸念が広がる中、海外の中央銀行による金融引き締めを受け、長期金利の上昇圧力が高まっている。4日の東京債券市場では、長期金利の指標となる10年物国債の流通利回りが一時0.2%に上昇。日銀がマイナス金利政策の導入を決めた2016年1月29日以来、約6年ぶりの高水準を付けた。市場では日銀も今後、政策修正に動くとの思惑がくすぶっている。
 海外の中銀では、英イングランド銀行が3日、0.25%の追加利上げを決定。米連邦準備制度理事会(FRB)は3月に利上げに踏み切る意向を示しており、欧州中央銀行(ECB)についても引き締め観測が台頭する。欧米がインフレ退治のため金融緩和の正常化を急ぐ中、市場では日銀による早期の政策修正観測も浮上している。
 これに対し、日銀の黒田東彦総裁は1月の金融政策決定会合後の記者会見で「利上げの議論は全くしていない」と強く否定。市場にくすぶる思惑の火消しを図った格好だが、金利上昇の勢いは止まっていない。ガソリンや食料品の値上がりが顕著となる中、長期金利の上昇で銀行が住宅ローン金利を引き上げれば家計の痛みが増すことになる。 

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