欧州へのガス融通検討=政府、米要請受け―ウクライナ侵攻備え 2022年02月03日

 政府は3日、ロシアがウクライナに侵攻して天然ガスの欧州向け供給が途絶える事態に備え、日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の一部を欧州に融通する検討に入った。バイデン米政権による打診を受けたもの。今後、米欧などと連携し、有事の際の具体的な対応策を詰める。
 欧州が消費する天然ガスの多くは、パイプラインなどを通じ陸路でロシアから供給されている。ロシアがウクライナに侵攻し米欧がロシアへの経済制裁に踏み切れば、ロシアが欧州への天然ガス供給を止める恐れがある。
 関係者によると、日本政府には2日、米国から融通についての打診があったという。萩生田光一経済産業相は3日、記者団の取材に応じ、LNGに関して「日本も輸入国だ」と指摘しつつ、「国際社会にどう貢献できるか考えていきたい」と述べた。
 ただ、日本は火力発電などの燃料となる天然ガスのほぼすべてをLNGの輸入で賄っており、昨年1月には国内のLNG在庫量が低下して火力発電所がフル稼働できず、電力需給が逼迫(ひっぱく)した経緯がある。経産省は今年も在庫確保に向けエネルギー業界や大手商社に協力を再三呼び掛けており、欧州への融通についても「決して余裕があるわけではなく慎重に検討する」(幹部)構えだ。
 資源エネルギー庁によると、日本のLNG輸入量は2020年実績で約7450万トン。このうちオーストラリアからの輸入が39.1%、中東全体が16.4%、ロシアは8.2%を占めている。 

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東京ガスの袖ケ浦LNG基地=千葉県袖ケ浦市
東京ガスの袖ケ浦LNG基地=千葉県袖ケ浦市

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