一方的「値付け」、独禁法違反も=新規上場で、厳正対処―公取委 2022年01月28日

 公正取引委員会は28日、企業が新規上場する際の公開価格設定に関する調査結果を正式発表した。主幹事の証券会社が公開価格の設定を主導している実態が判明。公取委は、合理的な根拠なく主幹事が一方的に低い価格を設定すれば、独占禁止法が禁じる優越的地位の乱用に当たる恐れがあると判断、具体的な事例があれば厳正に対処するとしている。
 公開価格は証券会社が企業と協議して決定するが、日本は海外に比べて、市場で最初に売買が成立した際の初値が公開価格を大幅に上回る傾向が強く、新興企業の資金調達額が少なくなっているとの見方がある。政府は昨年6月の成長戦略実行計画に価格設定プロセスの見直しを盛り込み、公取委が証券会社や新規上場企業などを対象に調査、約100社が回答した。
 この結果、新規上場企業の9割が公開価格の設定を主幹事が主導したと回答。価格決定過程で一定の割引率を示された際、算定根拠の具体的な説明を受けた企業は一部にとどまったほか、主幹事の変更を希望した企業のうち、できなかったケースが3割あった。 

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