新規上場の「値決め」柔軟化=期間は短縮、来月公表―日証協 2022年01月26日

 日本証券業協会は、企業が新規株式公開(IPO)する際の公開価格について、設定方法の改善案を近く取りまとめる。公開価格をめぐっては、証券会社が適正水準より低く設定するのは独占禁止法に抵触する恐れがあるとの見解を公正取引委員会が週内に示す見通し。日証協はこうした見解も踏まえ、設定方法の柔軟化や上場までの期間短縮などの方策を2月に公表する予定だ。
 証券会社は上場予定の企業と協議した上で公開価格を決定、株式を投資家に販売する。しかし、公開価格は市場で最初に売買が成立した際の初値を大幅に下回る傾向が強いとされ、新興企業の資金調達につながっていないとの指摘がある。このため、政府は昨年6月に決めた成長戦略で見直しを表明。日証協が市場関係者や学識経験者らで構成する作業部会で検討を重ねてきた。
 改善案では、公開価格を設定する際、事前に決めた仮条件の範囲を超えることを容認。需要動向に応じた柔軟な設定を可能にする。また、顧客の注文をこれまでより早い段階で受け付けるなどして、上場承認から上場日までの期間を現在の約1カ月から3週間程度に短縮。市場環境の変化に応じた上場日の設定をしやすくする。
 このほか、値段を指定しない「成り行き注文」が上場直前に集中し、初値が高騰するケースがあるため、初値形成までの成り行き注文を禁止。日証協は証券各社に対応を求めるほか、東証に必要な規則改正を要請する。 

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