生成AIが変えるIT勢力図=米エヌビディア、時価総額首位に浮上 2024年06月19日 14時48分
【シリコンバレー時事】米エヌビディアの時価総額が18日、世界首位に立った。その規模はわずか1年余りで3倍超に膨張。マイクロソフト(MS)やアップルなど、巨大IT企業をあっという間に抜き去った。生成AI(人工知能)や関連サービスの普及・開発が進む中、これらを支える半導体で圧倒的なシェアを誇るエヌビディアが業界の勢力図を塗り替えている。
米メディアによると、エヌビディア株は18日の米株式市場で前日終値比4%弱上昇。時価総額は約3兆3400億ドル(527兆円)に達した。英調査会社オムディアによると、データセンターで使用されるAI半導体で、エヌビディアは8割のシェアを握る。業績も好調で、2024年2~4月期決算では売上高が前年同期比3.6倍、純利益が7.3倍に膨らみ、いずれも過去最高を更新した。売上高営業利益率は65%と、稼ぐ力も圧倒的だ。
成長の原動力は、画像処理半導体(GPU)だ。当初はゲーム向けを柱に成長したが、膨大な計算を同時並行でこなせる特長をAI開発にも使えるようにし、近年の生成AIブームに乗った。
「とてつもない速さで進む列車に飛び乗るんだ。傍観していると、数年後に大きく後れを取ることになる」。フアン最高経営責任者(CEO)は12日、サンフランシスコで開かれた開発者会議で、業界の変化の速さをこう表現した。黒の革ジャンをトレードマークに、「ロックスター」とも称されるフアン氏は、今や半導体だけではなく、生成AIブームの先頭を走る。
ただ、グーグルやアマゾン・ドット・コム、メタ(旧フェイスブック)など生成AIサービスを手掛ける巨大ITは、エヌビディア製品を使いつつ、自社半導体の開発に乗り出した。こうした取り組みが、エヌビディア一強を崩すとの見方も出ている。フアン氏は6月、故郷の台湾で、27年まで毎年新製品を投入する計画を発表。これまで2年だった投入周期を短縮し、リードを広げる構えを示している。