米アップル、「囲い込み」転換=欧州で外部アプリストア容認 2024年01月26日 15時11分

 【シリコンバレー時事】米アップルが25日、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けアプリを巡る戦略の転換に動いた。欧州27カ国において、自社製に限定したアプリストアや決済システムを3月から外部企業も提供できるようにする。欧州連合(EU)の新規制はアップルの「囲い込み」戦略にも照準を定めており、方針転換を迫られた。
 アップルは詐欺被害や情報漏えいを防ぐ観点から、外部アプリストアを認めてこなかった。EUで3月からアプリストアの開放を義務付けるデジタル市場法(DMA)が全面適用されるため、現状のままでは制裁金を科される恐れがあった。
 見直しでは、外部のアプリストアと決済システムを容認した上で、アプリ開発者がアップルのアプリストア上で得た販売収入から支払う手数料も変更。最大30%だった手数料は10~17%に引き下げた。アップルの決済システムを使う場合は、追加で3%がかかる。
 アップルは「99%のアプリ開発者は、手数料支出を維持もしくは削減される」と説明した。アプリのインストール回数に応じた新手数料を設けるが、「支払う開発者は1%未満」と強調した。
 米メディアによると、マイクロソフトなどがアプリストア参入に関心を示している。競争が促進されれば、手数料のさらなる低下につながる可能性がある。
 ただ、人気ゲーム「フォートナイト」開発元の米エピックゲームズのスウィーニー最高経営責任者(CEO)はX(旧ツイッター)で、「ばかげた新手数料がはびこる」と反発。人気アプリにとっては「違法で反競争的」なままだと指摘した。
 新たな仕組みは、法令順守のためで提供範囲はEUに限定される。ただ、日本も規制を検討しており、アップルは同様の対応を迫られる恐れがある。アプリから得る手数料を含むサービス収入は売上高の2割を占めており、業績にも影響が及びそうだ。 

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