キューバ、米と融和ムード「消滅」=トランプ氏強硬政策―国交回復10年 2025年07月20日 14時23分

握手するオバマ米大統領(左)とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長=肩書きはいずれも当時。2016年3月、ハバナ(AFP時事)
握手するオバマ米大統領(左)とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長=肩書きはいずれも当時。2016年3月、ハバナ(AFP時事)

 【サンパウロ時事】キューバ革命で敵対関係となったキューバと米国が国交を回復してから20日で10年を迎えた。共産党一党独裁のキューバに対し、強硬路線を掲げるトランプ米大統領の再登板で融和ムードは「消滅」。米国の制裁がキューバに重くのしかかり、国の経済は危機に陥っている。
 「国会では国が直面している困難な時期を乗り越えるための行動を議論している」。ディアスカネル大統領は15日、X(旧ツイッター)への投稿で国民に理解を求めた。国内で停電が頻発し、食料不足も目立つ中、女性閣僚が前日、「キューバには物乞いがいない」と発言した。厳しい生活を強いられる国民の反発が広がり、この閣僚は辞任に追い込まれた。
 キューバは国交回復に動いたオバマ米政権下で経済制裁が緩和された。米国から観光客が押し寄せて外貨収入も増加し、キューバ経済は息を吹き返した。しかし、後を継いだ第1次トランプ政権が制裁を強化したところに新型コロナウイルス禍が重なり、暗転した。
 トランプ氏は第2次政権でもバイデン政権が決めたキューバのテロ支援国指定解除を撤回。11日にはディアスカネル氏への制裁も発表した。キューバのアロンソ経済企画相は16日、2024年の経済成長率が2年連続のマイナスで、特に農業など第1次産業の生産規模が過去5年間で50%以上落ち込んだと報告。「制裁が経済・社会の発展の最大の障害」と批判した。
 外交に活路を見いだしたいキューバは革命で断交した韓国との国交正常化を果たし、6月にソウルに大使館を開設した。貿易や投資に期待した動きで、「革命を知らない世代」のディアスカネル氏は、同じ社会主義国として友好関係を築いた北朝鮮にこだわらない現実的な対応を見せている。 

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