「強権」治政、最高裁が後ろ盾=圧力外交、副作用じわり―トランプ米政権発足半年 2025年07月19日 14時34分

18日、ホワイトハウスで演説するトランプ米大統領(EPA時事)
18日、ホワイトハウスで演説するトランプ米大統領(EPA時事)

 【ワシントン時事】第2次トランプ米政権が発足してから20日で半年。この間、トランプ大統領は目玉の大型減税関連法を成立させたほか、不法移民送還や政府職員の大規模リストラ、リベラルな教育・言論機関の弱体化といった公約を断行した。強権的との批判もあるが、保守派の判事が多数を占める連邦最高裁はトランプ氏の「後ろ盾」として機能。与党・共和党が上下両院で多数を占める状況で、ブレーキ役は実質存在していない。
 「米国は世界一、魅力的な国になった」。こう誇るトランプ氏の「成果」の一つが、不法移民対策だ。拘束・送還を強硬に進めた結果、バイデン前政権で最大約37万人に達した月間の不法越境者数は、今年6月に過去最低の約2万5000人まで減少。取り締まりは今後、さらに強化される。
 また、「左派思想の温床」と忌み嫌うエリート大学や公共放送への政府補助金を大幅削減。十数万人規模の連邦職員解雇や、教育省を含む一部政府機関の縮小も進めた。「政権寄り」の最高裁は、差し止めを求める各種裁判で、相次ぎ暫定的に政府を支持する判断を示している。
 外交面では、日本を含む各国に関税の脅しを強めたほか、対外支援を大幅に削減。6月にはイラン核施設を空爆した。ソフトパワーよりも軍事的、経済的威圧を頼む傾向を見せている。
 政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた各種世論調査の平均値によると、トランプ氏の支持率は18日現在、45.8%。3月以降、継続して不支持が支持を上回るが、1期目平均の42.8%に比べるとわずかに高い。
 一方、政策の副作用も顕在化し始めている。移民労働者が一斉摘発を恐れて出勤せず、農業や食品加工業などの事業者は直接の打撃を受けている。また、減税法が低所得者向け医療制度「メディケイド」の予算を大きく削減したことで、貧しい地方部には不安が渦巻く。野党民主党は共和党の「弱者いじめ」を、来年11月の中間選挙で主要争点とする構えだ。
 6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇したが、高関税政策や移民追放の物価への影響が本格化するのはこれから。トランプ氏が執拗(しつよう)に連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを迫る姿には、焦りも見え隠れする。 

海外経済ニュース