カンボジア大虐殺現場、世界遺産に=「深刻な人権侵害の証拠」―ユネスコ 2025年07月12日 08時02分

【パリ時事】国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は11日、カンボジアで1970年代にポル・ポト政権が行った大量虐殺の現場などを世界遺産に登録することを決めた。「キリングフィールド(殺りくの原野)」と呼ばれる処刑場跡が含まれ、同委は「20世紀で最も深刻な人権侵害の一つに関する証拠だ」としている。
登録対象は首都プノンペンのトゥールスレン虐殺博物館(旧S21収容所)や、処刑場跡のチュンエク虐殺センター。「人類史の重要な段階を示す際立った例」という評価基準を満たした。
両施設は現在、犠牲者追悼、歴史学習などに利用されている。カンボジアのフン・マネット首相は録画メッセージで「弾圧の中心は記憶、教育、希望の場に変わった。未来の世代は平和の真の価値を学ぶことができる」と述べた。
ポト政権は階級のない原始共産制の実現を訴えて都市住民を移住させ、農業を強制。反対派や知識人、政敵の粛清を繰り返し、一説には当時の人口の4分の1~3分の1に相当する150万~220万人が犠牲となった。政権幹部らは後に特別法廷で断罪された。