米標的にミサイル開発か=トランプ政権接近の背後で―パキスタン 2025年06月29日 05時15分

パキスタン軍トップのムニール陸軍元帥兼参謀長=5月21日、イスラマバード郊外ラワルピンディ(軍統合広報局提供・AFP時事)
パキスタン軍トップのムニール陸軍元帥兼参謀長=5月21日、イスラマバード郊外ラワルピンディ(軍統合広報局提供・AFP時事)

 【ニューデリー時事】核兵器を保有するパキスタンが、米国も射程圏内に入る大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発中との見方が浮上している。パキスタンは最近、トランプ米政権に接近しており、事実なら両国関係に大きな影を落とす可能性がある。
 24日発行の米外交誌「フォーリン・アフェアーズ」(電子版)は、パキスタンが米本土に到達可能なICBMを開発していると米情報機関が結論付けたと伝えた。執筆者は米マサチューセッツ工科大(MIT)の核セキュリティー・政策研究所長ら。これまでパキスタンが保有する兵器の大半は領土問題で対立する隣国インドに向けられていると考えられてきた。
 開発目的について、パキスタンの兵器無力化を狙った米国の「予防攻撃」抑止や、将来インドと交戦する際、米国がインド側に付いて介入するのを防ぐためではないかと指摘。「米国を標的にできるICBMを持つ国は友好国とは見なされない」との米当局者の見方を紹介した。
 米国は昨年12月、大量破壊兵器拡散阻止を目指す大統領令に基づき、長距離ミサイル開発に関与するパキスタンの4組織に制裁を科した。当時のファイナー米大統領副補佐官(国家安全保障担当)は、パキスタンが最終的に「南アジアをはるかに越え、米国をも含む標的への攻撃」が可能になると警鐘を鳴らした。
 一方、パキスタン軍トップのムニール陸軍元帥兼参謀長は今月18日、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談。トランプ氏の「政治手腕や国際社会の課題を理解し、対処する能力」を高く評価したと持ち上げた。パキスタン政府はその後、5月に起きた印パによる武力衝突の停戦を仲介したとして同氏のノーベル平和賞候補推薦を決めている。 

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