ガザ、早期戦闘停止も=トランプ氏が圧力―対イラン「勝利」背景に・イスラエル 2025年06月28日 17時10分

【カイロ時事】イスラエルとイランが停戦したことを受け、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの早期戦闘終結に向けた動きも出始めた。今回の停戦とガザ情勢を連動させたいトランプ米大統領は27日、記者団に対して「来週中にも(ガザで)停戦すると思う」と表明。ガザでの戦闘終結に向けて圧力を強めた形だ。
◇野心的構想
ガザ情勢を巡り、トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相に具体的な対応を促しているもようだ。両首脳がどのような議論を交わしているのか詳細は明らかでないが、イスラエル紙のイスラエル・ハヨムは、両首脳がガザでの戦闘停止を含む中東戦略に関する「基本原則」で合意したと報じた。
報道によれば、米軍が22日、イスラエルの作戦を支援する形でイラン核施設を空爆した直後の電話会談で合意が交わされた。基本原則ではエジプトなど中東4カ国が停戦後のガザを管理し、ハマスはイスラエルから連れ去った人質を解放する。ハマス幹部のガザ追放や、「国際法違反」と批判を浴びるガザ住民の域外移住などにも踏み込んでいるという。
ただ、同紙は基本原則を「野心的構想」と位置付ける。ハマスや、エジプトなど関係各国がこの原則をそのまま受け入れるかは不透明だ。
◇双方に停戦の余地
2023年10月に始まったイスラエル軍によるガザでのハマス掃討作戦は泥沼化。ガザの死者は5万6000人以上に上り、国際社会からの批判が収まらない。ネタニヤフ氏は、戦闘が長期化し人質奪還が進まないことで国内でも非難の矛先を向けられてきた。
だが、宿敵イランへの攻撃は世論調査で70%が支持。欧米も自衛権の行使だと容認した。ネタニヤフ氏は、イランに対する「勝利」で国内が高揚しているうちにガザでも事態を収束させれば、政権内の対ガザ強硬派の反対論を封じ込めることができると判断している可能性もある。何より、イラン攻撃に加わって恩を売ったと見なすトランプ氏の停戦圧力は無視できない。
一方、アルアハラム政治戦略研究所(エジプト)のサイード・オカシャ氏は、今後のハマスの動向について、停戦に向けて厳しい条件を突き付けられれば、態度を硬化させる可能性があると指摘。ただ、対イスラエルでハマスを支援してきたイランが弱体化した現状を「(ハマスが)合理的に判断すれば、停戦は実現する」と、合意妥結の余地があると分析した。