「法の支配」崩壊に危機感=米の裁判官制裁を批判―赤根ICC所長 2025年06月27日 19時36分

国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長は27日、トランプ米政権によるICCへの制裁について「第三国にも影響を及ぼしており、国際法違反だ」と批判した。その上で、制裁が続けば「国際社会が長年かけて築いてきた『法の支配』にのっとったICC体制を崩してしまう」と危機感を表明した。オランダ・ハーグから日本メディアのオンライン取材に応じた。
米国はICCの締約国ではないが、ICCがアフガニスタンでの米兵の戦争犯罪に関する捜査を正式に始めたことや、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことに強く反発。トランプ大統領が2月、ICC当局者への制裁を可能にする大統領令に署名し、国務省は今月5日、これらの事案を担当した裁判官4人への経済制裁を発表した。
赤根所長は「戦争を指導する個人を処罰するICCは、国際法の最後のとりでであり、どんな時も存在し続けることが重要だ」と強調。日本を含む締約国に対し、米国に翻意を促すなど、制裁に対抗してほしいと呼び掛けた。