防衛費「5%」目標で合意=NATO首脳会議閉幕 2025年06月25日 21時30分

25日、オランダ・ハーグで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する各国首脳(AFP時事)
25日、オランダ・ハーグで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する各国首脳(AFP時事)

 【ハーグ時事】北大西洋条約機構(NATO)は25日、加盟各国が防衛費を2035年までに対国内総生産(GDP)比5%に引き上げる新たな目標で合意したとする首脳宣言を発表した。オランダ・ハーグで開かれていた首脳会議は、2日間の日程を終え閉幕した。新目標には、各国の防衛負担が軽過ぎると批判するトランプ米大統領の要求に応えることで、米国の欧州防衛への関与をつなぎ留める狙いがある。
 宣言には、集団防衛に関する「揺るぎない責務」を再確認したとの文言が盛り込まれた。トランプ氏は先に、集団防衛を規定したNATO条約第5条には「多くの定義がある」と疑義を呈していたが、会議では「われわれは最後まで(NATOと)共にある」と述べ、米国として防衛義務を果たす方針を表明。「首脳会議は大成功だった」と評価した。
 NATOのルッテ事務総長は閉幕後の記者会見で「NATO加盟への不可逆的な道を歩むウクライナを支援し続ける」と語った。ただ、宣言ではロシアの侵攻を受けるウクライナの将来の加盟には触れなかった。
 防衛費目標を巡っては、現行の対GDP比2%以上を達成していない国もある中、大幅な引き上げに反発する声もあった。だが、ロシアの脅威に加え、公平な負担がなければ欧州を「守るつもりはない」と言い切るトランプ氏の姿勢が各国の決断を後押しした。
 新目標では、5%のうち3.5%を純粋な防衛費とし、残る1.5%をインフラ整備やサイバー対策といった広義の安全保障分野に充てることを認める。ロシアとの地理的距離や財政状況などに応じ、加盟国間で防衛力強化への姿勢に温度差があるため、支出に一定の柔軟性を持たせることで同意を取り付けやすくした。
 22年以降の首脳会議で主要議題だったウクライナ支援については、ロシアに融和的な姿勢を示すトランプ氏に配慮し、扱いが後退するとの見方が出ていた。ハーグでトランプ氏と会談したウクライナのゼレンスキー大統領はX(旧ツイッター)に「長時間に及ぶ意義のある会談だった」と投稿。停戦交渉が停滞する中、トランプ氏に支援継続と対ロ圧力の強化を訴えたとみられる。 

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北大西洋条約機構(NATO)の旗(AFP時事)
北大西洋条約機構(NATO)の旗(AFP時事)

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