戦果上乗せ困難、停戦選ぶ=米空爆で区切り―イスラエル 2025年06月25日 14時56分

イスラエルのネタニヤフ首相(左)とトランプ米大統領=4月7日、ワシントン(AFP時事)
イスラエルのネタニヤフ首相(左)とトランプ米大統領=4月7日、ワシントン(AFP時事)

 【カイロ時事】イランに先制攻撃を仕掛けたイスラエルは「全ての作戦目的を達成した」(ネタニヤフ首相)として停戦に応じたが、背景には作戦を継続しても顕著な戦果の上乗せが難しかったという事情があったとみられる。米軍が前例のないイラン核施設空爆に踏み切ったことも、大きな区切りになった。
 イスラエルは13日、イランの核武装が差し迫っているとして軍事作戦を開始した。ミサイル発射装置などを攻撃し、首都テヘランの制空権を獲得。軍や革命防衛隊幹部、核科学者を多数殺害した。イラン中部フォルドゥなど主要な核施設3カ所に対しては、イスラエル軍が攻撃した後、米軍も22日に地下貫通型の特殊爆弾「バンカーバスター」などを使って空爆。打撃を内外にアピールする材料が積み上がった。
 一方、トランプ米大統領は空爆直後から「イランとの平和」を望む方向にかじを切った。ネタニヤフ氏は、これに呼応するかのように「消耗戦に引きずり込まれることはない」と述べ、軍事作戦終了の可能性に言及した。
 停戦合意は23日、米軍の空爆への報復として、イランがカタールの駐留米軍に事前通告の上、反撃を実施した直後に発表された。イスラエル近隣国の外交官はイスラエル紙ハーレツに対し、「双方が勝利を主張できる形」で合意に至ったことが成果だと指摘した。
 ネタニヤフ氏は24日、「歴史的勝利」を宣言した。ただ、イランに打撃を与えたとはいえ、所期の目標とした「イランの核と弾道ミサイルの脅威の排除」を実現できたかは不透明だ。
 核施設3カ所の被害について、米CNNは十分に破壊できなかったとする情報機関の初期分析を報じた。イランのペゼシュキアン大統領は核開発継続の意向を示している。
 また、イランは24日の停戦入り直前、イスラエルにミサイルを発射。南部ベエルシェバに着弾し、4人が死亡した。イランによるミサイル攻撃の脅威が失われていないことが示された。 

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