イラン・識者談話 2025年06月24日 18時56分

松永泰行 東京外語大大学院教授(本人提供)
松永泰行 東京外語大大学院教授(本人提供)

 ◇停戦継続に疑念
 松永泰行・東京外語大大学院教授(国際政治)の話 イスラエルとイランの間に本当に停戦合意が存在するのか、また、合意が存在していたとして、それが継続するのか疑問だ。
 イスラエルによる攻撃の目的は達成されていないように思える。イラン側の説明では、核施設は完全に破壊されたわけではない。また、最高指導者のハメネイ師が存命なら、イスラエルは必ず暗殺を図るだろう。
 今回、イスラエルと米国は、イランが外交折衝を行っている中で攻撃を仕掛けた。協議をしていても攻撃される状況で、外交プロセスへの信頼は失われている。停戦がいつ崩れるか分からない。
 イランの核計画に対する姿勢は今後も変わらないと考える。イランは、核兵器開発の意図はなく、全て平和利用目的であるという主張を続けるだろう。経済制裁が解除されるなら、ウラン濃縮の度合いを下げることもやぶさかではないはずだ。
 イスラエルとイランの交戦を巡っては、先進国と途上国の間で立場の違いがある。G7(先進7カ国)でイラン側に付いている国はないが、途上国の間にはイランの主張が正しいとみている国もある。今後、イランは自らの主張に耳を傾けてくれる中東諸国などとの連携を強化していくだろう。今回、G7の中で唯一イスラエルに厳しい姿勢を取った日本との会談を望む可能性もある。 

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