イラン大統領、米に報復表明=トランプ氏「体制転換」言及 2025年06月23日 19時33分

イランのペゼシュキアン大統領=3日、テヘラン(EPA時事)
イランのペゼシュキアン大統領=3日、テヘラン(EPA時事)

 【カイロ時事】イランのペゼシュキアン大統領は22日、同国の核施設を攻撃した米国に対し、「当然、報いを受けなければならない」と述べ、米国への報復を明言した。イランが中東地域に展開する米軍を攻撃すれば、戦闘の拡大は避けられそうにない。トランプ米大統領は「体制転換」に言及し、核計画の放棄を求めている。だが、イランは態度を硬化させており、中東情勢は不透明感を増している。
 イラン大統領府の発表によると、ペゼシュキアン氏は22日、フランスのマクロン大統領との電話会談で、核開発問題の協議中に米国が攻撃に踏み切ったことについて「不誠実さを象徴する行為だ」と非難。威圧的な政策には「屈しない」と、米国に強く反発した。
 一方、トランプ氏は22日、「現政権がイランを再び偉大にできないのなら、なぜ体制転換が起きないのか」とSNSに投稿。「MIGA(メーク・イラン・グレート・アゲイン)!」と、イラン最高指導者ハメネイ師の排除を支持するような表現を使った。
 ただ、トランプ氏はハメネイ氏の暗殺も視野に入れるイスラエルのネタニヤフ首相の強硬路線とは距離を置いてきた。ヘグセス米国防長官は22日の記者会見で、今回の攻撃の目的は核開発の阻止であって「体制転換ではない」と強調。トランプ氏も投稿で「『体制転換』という言葉を使うのは政治的に正しくない」と認めていることから、真意はハメネイ師に圧力をかけ譲歩を引き出すことを狙ったとみられる。
 しかし、イランは「今は外交の時ではない」(アラグチ外相)と主張。ロイター通信によると、イラン軍報道官は23日、米国に対して「重大な結果」を覚悟するよう警告した。イランが米軍に報復攻撃を行えば、米側も反撃することが予想される。トランプ氏の意図に反して、紛争がさらに拡大する可能性は高まっている。 

その他の写真

米ホワイトハウスで演説するトランプ大統領=21日(EPA時事)
米ホワイトハウスで演説するトランプ大統領=21日(EPA時事)

海外経済ニュース