韓国若者に日本文化浸透=ソウル中心部に「アキバ」も 2025年06月23日 14時29分

ソウルの弘大地区にある日本のアニメ関連商品を販売する小物店=13日
ソウルの弘大地区にある日本のアニメ関連商品を販売する小物店=13日

 【ソウル時事】国交正常化をうたった日韓基本条約への署名から22日、60年を迎えた。日韓関係は改善基調に乗る。ソウルの若者に人気の街、弘大地区には日本のアニメや漫画関連のグッズを販売する店が並び、日本文化を楽しむ若者たちが集まる。「オタク」の街、東京・秋葉原にちなみ「ホンキハバラ」との別名も登場するほどだ。
 ◇「新世代のオタク」
 地元関係者によると、街に日本関連のグッズ店が増え始めたのは、2021年ごろから。日本のアニメ関連商品を扱う「アニメイト弘大店」が同年、街の中心部の百貨店に移転したのがきっかけだ。19年から弘大に店を構えていたが、移転を機にイベントスペースを設けるなど拡充。個人営業の小規模グッズ店も、近隣に相次いで開店したという。
 アニメ関連の小物店の店長女性(36)は、10~30代の客が多いと話す。「私も幼い頃、(宮崎駿監督らが設立した)スタジオジブリの作品を見て育ったが、その世代が30代になった。今は(動画配信の)ネットフリックスなどを通じ(日本のアニメを)多く見られるようになり、さらにブームになっている」
 漫画コラムニストのソ・チャンフィ氏は、若者の街である弘大は、以前から日本食やファッションなど日本文化との「結節点」だったと解説。最近は「新世代のオタク」に求められる場所になったと語る。
 ◇関係の「促進剤」
 6月中旬、日本人の友人とアニメイト弘大店を訪れていた大学生の柳恵程さん(20)は「少年漫画が好きで、週刊少年ジャンプのような雑誌もよく買います」と笑顔を見せた。人気アニメ「進撃の巨人」などで日本への関心を深め、中学生の時から日本語を独学している。
 平日の昼にもかかわらず、来店する人が絶えない。新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」で日本に「はまった」という大学生の男性(20)もその一人。日韓には歴史を巡る対立があるのも事実だが、「文化が好きな心は別だ」と一線を画す。
 日韓関係が専門の峨山政策研究院の崔恩美研究委員は「(1998年の)日本の大衆文化開放以降に生まれた若い世代が、日本文化に自然に接する中で好感度が高まった」と指摘。人的交流の拡大と好感度の高まりが「両国関係の緩衝材と促進剤の役割を果たすと思う」と期待を示した。 

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ソウルの弘大地区で、日本のアニメ関連商品を販売する小物店=13日
ソウルの弘大地区で、日本のアニメ関連商品を販売する小物店=13日

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