少額貨物の免税、見直し議論=中国系通販の拡大、日本も検討―G7 2025年05月21日 17時52分

スマートフォン上に表示されるTemu(テム)とSHEIN(シーイン)のアプリ=2月7日、ベルリン(EPA時事)
スマートフォン上に表示されるTemu(テム)とSHEIN(シーイン)のアプリ=2月7日、ベルリン(EPA時事)

 【バンフ時事】少額の輸入品に対する関税などの免除措置見直しへの機運が高まっている。背景には、中国系ネット通販が免除措置を活用して各国で低価格商品の販売を拡大し、国内事業者の不満が強まっていることがある。21、22両日にカナダ西部バンフで開かれる先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも議論する。
 日本では1万円以下の少額輸入品について、原則として関税や消費税を免除する措置を取っている。加藤勝信財務相は20日の記者会見で、「国境を越えた電子商取引への適正な消費課税のあり方を検討する」と述べ、見直しを視野に入れていることを明らかにした。
 議長国カナダのシャンパーニュ財務相も同日の会見で、「G7が議論を始めた問題だ。国境管理などでも問題を引き起こしている」と話し、議題として取り上げる考えを表明した。
 多くの国・地域では、通関業務の負担軽減などのため、少額輸入品の関税や消費税を免除する措置「デミニミス・ルール」を導入している。中国系ネット通販の「Temu(テム)」や「SHEIN(シーイン)」はこの措置を利用し、国外から小口で格安商品を送付することで、米国などで事業を急拡大させた。
 米国では、800ドル(約11万5000円)以下の少額輸入品に関税の免除措置を導入しているが、トランプ米政権は2日、中国からの輸入品への適用を停止。免税とすることで貨物への監視が甘くなり、合成麻薬「フェンタニル」の米国流入の温床になっているとの懸念も措置停止につながった。
 欧州連合(EU)では、2021年にネット通販の輸入品を対象に消費税の免除を停止。今年2月には、関税免税も廃止する案を公表した。各国・地域の動向やG7での議論は、日本の見直し論議にも大きな影響を与えそうだ。 

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