過剰生産や輸入拡大など難問多く=関税下げ、14日適用―米中協議 2025年05月13日 17時44分

ベセント米財務長官=12日、スイス・ジュネーブ(AFP時事)
ベセント米財務長官=12日、スイス・ジュネーブ(AFP時事)

 【ワシントン時事】ベセント米財務長官は12日、中国との貿易協議について、「より包括的な合意に向け、数週間以内に再び会合を開く」と述べ、本格的な議論を始める考えを示した。米CNBCテレビのインタビューで語った。ただ、米国の貿易赤字削減のほか、中国の過剰生産や為替制度の問題など難問が山積しており、互いに追加関税を停止した90日間で合意が得られるか、予断を許さない。
 米中は10、11両日にスイスで閣僚級協議を開き、追加関税を互いに115%引き下げることで合意。うち24%分は90日間停止し、協議を続けることで一致した。この間、米国の追加関税は30%、中国は10%となる。14日から適用する。
 今後の協議では、年3000億ドル(約44兆円)規模に上る米国の対中貿易赤字削減に向けた具体策が焦点の一つとなる。
 米中は、第1次トランプ政権の2020年、貿易協議の「第1段階合意」に達した。中国は米国からの輸入を2000億ドル以上増やすとしたが、米国は「履行されていないようだ」(グリア通商代表部=USTR=代表)と批判を強めている。
 ベセント氏は、第1段階合意が今後の協議の「出発点」になると説明。改めて履行を迫る考えを示唆した。12日のスイスでの会見では、中国と「物品購入協定を結ぶ可能性がある」と話し、さらなる輸入拡大を求める意向を示している。
 中国の過剰生産問題も議題になる見通し。米国は、中国政府による巨額の補助金を背景にした過剰設備で生産された製品が安価で世界中に輸出され、各国の製造業を脅かしていると非難。国内消費の拡大などを要請する方針だ。
 中国の過剰生産や市場開放などは、長年議論されてきた問題でもある。ウェンディ・カトラー元USTR次席代表代行は、停止期間の90日は「幅広い貿易問題に対処するには、極めて短い。通常は1年以上かかる」と指摘する。
 トランプ氏は、協議がまとまらなければ「関税は大きく上がるだろう」と話しており、米中貿易戦争が再燃する可能性もくすぶっている。 

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