「パラグアイは信頼できるパートナー」=台湾外交維持、日本人移住90年で皇族招待―ペニャ大統領インタビュー 2025年05月13日 14時22分

12日、パラグアイの首都アスンシオンにある大統領公邸でインタビューに応じるペニャ大統領
12日、パラグアイの首都アスンシオンにある大統領公邸でインタビューに応じるペニャ大統領

 【アスンシオン時事】南米パラグアイのサンティアゴ・ペニャ大統領(46)は12日、首都アスンシオンの大統領公邸で時事通信との単独インタビューに応じた。南米の国で唯一となった台湾との外交関係を今後も維持すると明言。「中国の影響を受けやすい国ではない」ため「日本にとって信頼できるパートナーになれる」と述べ、投資や貿易を通じ日本との関係強化を目指す方針を表明した。パラグアイに日本人が移住して来年で90周年となるのに合わせ、日本の皇族を招く考えも明らかにした。
 ペニャ氏は19日~23日の日程で訪日し、石破茂首相と会談するほか、秋篠宮ご夫妻とも面会する。大阪・関西万博でパラグアイの「ナショナルデー」に当たる19日には、万博会場を訪れて関連行事に参加する。
 パラグアイでは日本人移住者が持ち込んだ大豆の栽培が普及し、世界第3位の大豆輸出国に躍進した。ペニャ氏は「日本人が定住した地域は、どこも繁栄している」と経済発展への貢献に言及。秋篠宮ご夫妻との面会で「90周年を祝うために皇族が来ることは、非常に大切だと伝えたい」と語った。80周年では、ご夫妻の長女眞子さまが訪問した。
 ペニャ氏は、かつて勤務した国際通貨基金(IMF)でアフリカを担当した際、開発支援をてこに中国が影響力を広げるのを間近に見てきたという。中国の切り崩しによって、台湾と外交関係を維持する国は現在、世界で12カ国にまで減少。パラグアイも中国から「台湾との断交」圧力を受けるが、「(中国の)偽りの約束になびくことはない」と断言した。
 パラグアイは昨年、一部の格付け会社が「投資適格国」に引き上げるなど、投資環境が整いつつある。ペニャ氏は、域内人口2億5000万人を超える関税同盟「南米南部共同市場(メルコスル)」内では、ブラジルで生産するよりコストを抑えられると投資への期待を表明。石破首相との会談では、パラグアイ産牛肉の輸入解禁も改めて求める方針だ。
 1989年の独裁体制崩壊から35年以上が経過し、「パラグアイ社会は、国際舞台でより大きな役割を果たしたいと決意した」とペニャ氏は説明。「パラグアイの潜在力を示す必要がある」と抱負を語った。 

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パラグアイが外交関係を維持する中華民国(台湾)の蒋介石・元総統の像=11日、アスンシオン
パラグアイが外交関係を維持する中華民国(台湾)の蒋介石・元総統の像=11日、アスンシオン

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