依然独走、保守・中道層に秋波=野党・李在明氏が届け出―韓国大統領選 2025年05月10日 19時26分

【ソウル時事】韓国大統領選(6月3日投開票)の候補者登録が10日始まり、支持率でトップを走る革新系最大野党「共に民主党」候補の李在明前代表が届け出た。最高裁の無罪判決破棄による危機を脱し、独走状態が続く。勢いに乗る李氏は、保守系与党「国民の力」に失望する保守・中道層の取り込みへアクセルを踏んでいる。
李氏は10日、保守の地盤である南東部の慶尚南道で演説。「内乱を克服し、民主共和国を回復する重要な時期だ」と述べ、尹錫悦前大統領の「非常戒厳」宣言に端を発した混乱を自らが収拾する考えを強調した。保守・革新で分かれる地域対立の解消を訴え、与野党のシンボルカラーを念頭に「良い世界をつくる人なら赤でも青でも関係ない」と訴えた。
最高裁は1日、李氏の公選法違反事件の無罪判決を破棄し、審理を差し戻したが、ソウル高裁は審理を大統領選後に始めると決定。有罪が確定して出馬資格を失う可能性がなくなった。候補一本化を巡る与党の混乱もあり、最高裁判決は李氏の支持率にほとんど影響していない。
尹氏の非常戒厳に対する中道層の反感は強く、李氏への追い風になっている。李氏は10日、与党が尹氏を支えた韓悳洙前首相を擁立しようとしていることに対し「『内乱候補』がどう民主共和国に責任を負うのか笑うしかない」と記者団に余裕の表情を見せた。
経済活性化を重点的に訴える李氏は8日、経済団体トップと懇談し、トランプ米政権の高関税政策には「立場が似る近隣の日本のような国と共同の対応が必要だ」と表明した。9日には「日本は長い間緊密な協力を続けてきた重要なパートナー」と言及。当選後を視野に、かつての反日的言動は影を潜め、安定的な外交を目指す姿勢を示している。
10日は保守系野党「改革新党」候補の李俊錫議員も届け出た。与党候補は最終日の11日に登録する見通し。