北朝鮮軍、パレード不参加=正恩氏訪ロも先送り―対独戦勝80年 2025年05月09日 17時54分

9日のモスクワ「赤の広場」の軍事パレードには、ウクライナ侵攻下でロシアに兵士を送った北朝鮮軍も行進に加わるよう提案されていたが、実現しなかった。プーチン大統領から年内の訪ロを招請されていた金正恩朝鮮労働党総書記も今回のタイミングは見送った。
朝鮮中央通信によると、正恩氏は9日、在北朝鮮ロシア大使館を娘と共に訪問し、祝意を伝えた。正恩氏は「不敗の同盟関係を絶えず強固に発展させていく」との立場を表明した。
ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)によると、北朝鮮は申紅哲・駐ロシア大使がパレードに出席。観閲席に高級軍人が姿を見せ、終了後にプーチン氏と握手した。正恩氏は2015年にも対ドイツ戦勝70年記念日に合わせたモスクワ訪問を計画したが、直前に中止した。
ロシアの有力紙ベドモスチは今年4月、外交筋の話として「正恩氏は過去、各国首脳が参加する行事への出席を避けてきた。しかるべき準備は行われておらず、正恩氏はパレードに参列しない公算が大きい」と伝えていた。
ロ朝は24年、包括的戦略パートナーシップ条約を締結した。北朝鮮はロシア西部クルスク州に1万人以上を派兵し、ウクライナ軍との戦闘に参加。4000人超の戦死傷者が出たとみられている。
ロ朝とも派兵問題に沈黙を貫いてきたが、4月26日にロシア軍のゲラシモフ参謀総長が「北朝鮮兵が参加した」と初めて言及した。北朝鮮側も同27日の声明で公表した。
プーチン氏は「北朝鮮の友人たちは連帯、正義、同志の感情に基づいて行動した」と正恩氏に謝意を表明した。これに合わせてロシア国防省は北朝鮮兵が訓練する映像を公開。北朝鮮軍のパレード不参加がほぼ確定していたため、公に派兵を称賛することで北朝鮮の貢献に報いる狙いがあったもようだ。