15兆円規模の報復関税検討=米に対抗、輸出制限やWTO提訴も―EU 2025年05月08日 22時33分

 【ロンドン時事】欧州連合(EU)欧州委員会は8日、トランプ米政権による一連の関税措置に対抗するため、950億ユーロ(約15兆5000億円)相当の米国製品に報復関税を課す案を公表した。工業製品や農産物など幅広い品目が対象。併せて、鉄スクラップや化学製品など44億ユーロ(約7200億円)相当の米国向け輸出品に対する輸出制限の導入も検討している。
 今回の対応は、米国がEUに課した20%の相互関税や、自動車・部品に対する25%の追加関税を受けたもの。鉄鋼やアルミニウムにも25%の関税が課されており、EUの対米輸出の7割に相当する3790億ユーロ(約62兆円)分の製品が影響を受けている。欧州委は、米国が表明した90日間の相互関税の一部停止を受け、協議による解決を優先しつつ、対抗措置の準備を進めてきた。
 欧州委はまた、米国の関税措置が世界貿易機関(WTO)の基本ルールに違反しているとして、近く紛争処理手続きを開始する方針。まずは協議を求め、合意に至らない場合は紛争処理パネルの設置を要請する。フォンデアライエン委員長は「交渉による解決策を見いだすことに引き続き全力を尽くす」と述べる一方、「あらゆる事態に備え続ける」と強調した。 

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