アジア出身、トランプ支持者も候補=7日からローマ教皇選挙 2025年05月06日 15時18分

次期ローマ教皇の有力候補。左から米国のバーク枢機卿、イタリアのパロリン枢機卿、フィリピンのタグレ枢機卿(AFP時事)
次期ローマ教皇の有力候補。左から米国のバーク枢機卿、イタリアのパロリン枢機卿、フィリピンのタグレ枢機卿(AFP時事)

 【パリ時事】第267代ローマ教皇が7日に始まる選挙「コンクラーベ」で誕生する。4月に88歳で死去したフランシスコ教皇の後任が誰になるかは「神のみぞ知る」(欧州メディア)だが、「アジアのフランシスコ」からトランプ米大統領支持者まで、二十数人が候補と目されている。
 選挙には前教皇の在位に対する審判という側面がある。未成年への性暴力など聖職者の不正に苦しんだベネディクト16世の後は、進歩派のフランシスコ教皇が選ばれた。
 今回は、フランシスコ教皇が進めた教会改革の是非が問われる。教皇は一般信徒の間で絶大な人気を誇ったが、女性登用や同性カップルへの祝福といった取り組みは保守派の批判に遭い、論争を巻き起こした。残されたのは「分断を深めた教会」(米紙)。専門家によれば、教皇が任命した80歳未満の枢機卿108人も一枚岩には程遠い。
 ◇アジア初なるか
 そうした中、進歩派と保守派の橋渡し役を期待されるイタリアのパロリン枢機卿(70)が「最有力候補」に浮上している。教皇庁国務長官としてフランシスコ教皇を補佐。最も知名度の高い枢機卿の一人で、「完璧な外交官」(AFP通信)とも評される。先週は健康不安説が降って湧き、教皇庁が否定に追われた。古今東西、選挙に「怪情報」は付き物だ。
 進歩派では「アジアのフランシスコ」の異名を取るフィリピンのタグレ枢機卿(67)が脚光を浴びる。「人を和ませる笑顔」(ANSA通信)がトレードマークだが、ジョン・レノンの名曲「イマジン」を歌う数年前の動画は、保守派がバッシングに利用。「宗教や天国を否定する」歌を口ずさむのは「カトリックの教えへの裏切り」だと攻撃された。仮に教皇に選出されれば、西アジア(中東)を除くアジア出身者で初の快挙となる。
 ◇保守派にも可能性
 一方、保守派では米国のバーク枢機卿(76)が2016年、米大統領選でのトランプ氏の勝利を歓迎したことで知られる。トランプ氏が唱えた人工中絶反対などの主張を評価し、米国は「進むべき正しい道」を歩むことになると強調した。もっとも、ことごとくフランシスコ教皇と対立した強硬保守だけに、選挙で支持が集まるかは不透明。保守派の中でも比較的穏健なハンガリーのエルデ枢機卿(72)の方が可能性はありそうだ。
 このほか、フランシスコ教皇のウクライナ和平特使を務めたイタリアのズッピ枢機卿(69)や、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスが拘束した人質の身代わりになる提案を行ったイタリアのピッツァバッラ枢機卿(60)らも取り沙汰されている。 

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