歴代大統領の起訴6人目=民主化後、文氏も流れ逆らえず―韓国 2025年04月24日 19時39分

1996年12月、ソウル高裁の被告人席に立つ全斗煥(右)、盧泰愚両氏(AFP時事)
1996年12月、ソウル高裁の被告人席に立つ全斗煥(右)、盧泰愚両氏(AFP時事)

 【ソウル時事】韓国の文在寅元大統領が、1987年の民主化以降に起訴された歴代大統領の6人目に名を連ねた。韓国では政権交代のたびに、検察が過去の政権の不正を追及してきた。在任中に検察改革を掲げた文氏も、流れに逆らうことはできなかった。
 全斗煥、盧泰愚両氏は79年のクーデターを巡る内乱罪などで95年に起訴された。その後、全氏は無期懲役、盧氏は懲役17年の判決がそれぞれ確定したが、97年に特別赦免し釈放された。
 盧武鉉氏は退任後、夫人らが不正な資金提供を受けていた疑いが浮上。2009年、検察に出頭し取り調べを受けた後に自宅裏山の崖から飛び降りて自殺した。盧氏の盟友である文氏が検察改革に取り組んだ背景には盧氏の死があったとされる。
 友人の国政介入問題などを巡り17年に大統領を罷免された朴槿恵氏は、収賄罪などで起訴され21年に懲役20年の判決を受けた。後に文氏が特別赦免し釈放。在職中に多額の賄賂を受け取った収賄罪などで起訴され懲役17年が確定した李明博氏も、尹錫悦氏が特別赦免した。
 積み重なった過去の不正をただす「積弊清算」を掲げ、保守の朴、李両政権を追及したのは文氏。当時、検事としてその捜査を主導したのが尹氏だった。
 昨年12月に「非常戒厳」を宣言した尹氏は今年1月、現職大統領として初めて逮捕、起訴された。内乱罪に問われた刑事裁判は罷免後の現在も続いている。

 
 ◇韓国の歴代大統領
李承晩(1948~60) 反独裁運動受け米国へ亡命
尹※(※サンズイに普)善(60~62)
朴正煕(63~79)  在任中に暗殺
崔圭夏(79~80)
全斗煥(80~88)  退任後、内乱罪などで無期懲役確定。後に特別赦免
盧泰愚(88~93)  退任後、内乱罪などで懲役17年確定。後に特別赦免
金泳三(93~98)
金大中(98~2003)
盧武鉉(03~08)  退任後、不正資金疑惑で捜査を受け自殺
李明博(08~13)  退任後、収賄罪などで懲役17年確定。後に特別赦免
朴槿恵(13~17)  史上初の罷免。収賄罪などで懲役20年確定。後に特別赦免
文在寅(17~22)  収賄罪で在宅起訴
尹錫悦(22~25)  「非常戒厳」宣言巡り罷免。内乱首謀罪で起訴。 

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2017年5月、ソウル中央地裁に入る朴槿恵氏(EPA時事)
2017年5月、ソウル中央地裁に入る朴槿恵氏(EPA時事)

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