「世界最悪の人道危機」=スーダン内戦2年、収束見えず―各国介入で解決困難に 2025年04月14日 19時13分

【カイロ時事】アフリカ北東部スーダンで正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘が始まって15日で2年。これまでに1300万人近くが国内外で避難民となり、約15万人が死亡したと推計されている。人口の約半数が深刻な食料不足に直面し飢饉(ききん)が拡大。「世界最悪の人道危機」(国連)に陥っているものの、両勢力は戦闘継続の構えを崩していない。
「首都ハルツームは解放された」。軍トップのブルハン統治評議会議長は3月26日、RSFから奪還した大統領宮殿でこう宣言した。しかし、RSFは西部ダルフール地方を中心に広範囲で勢力を保ち、泥沼の戦闘が各地で続く。ブルハン氏は「交渉も妥協もしない」とRSF打倒まで攻撃を続ける考えを示している。
一方、RSFも「全ての戦線で敵を圧倒的に打ち負かす」と徹底抗戦の姿勢だ。4月11日から西部北ダルフール州の州都ファシェルに攻勢を仕掛け、報道によると、州都や周辺の避難所への攻撃でこれまでに子供を含む少なくとも450人が死亡した。
内戦では民間人への攻撃や略奪、女性への性的暴行が横行している。バイデン前米政権は1月、特定の部族を組織的に殺害したとしてRSFがジェノサイド(集団殺害)を行ったと認定。トップのダガロ司令官に制裁を科した。市民に危害を加えたとしてブルハン氏も制裁対象に指定した。
内戦は、2021年の軍事クーデター後の民政移管プロセスで、正規軍とRSFの統合に関し対立が激化し始まった。アラブ諸国やロシアなどが介入し戦闘が長期化した経緯があり、豊富な埋蔵量を誇るスーダンの金を巡る利権が絡んでいるとみられている。
アラブ首長国連邦(UAE)は複数の金鉱を押さえるRSFに武器を供給しているとされる。スーダン政府は今月10日、国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)に対し、UAEがジェノサイドに加担したとして暫定措置命令を出すよう求めた。
一方、軍側は隣国エジプトが支援。経済制裁の抜け道を探すロシアは双方との関係を維持しているほか、イランが正規軍側に接近していると報じられている。
停戦仲介を当初担った米国とサウジアラビアは9日、和平交渉の再開を呼び掛けたが具体的な動きはない。国内情勢に詳しいスーダン科学技術大のアブデルアジム・マハル教授は「外国からの軍事支援が続く限り戦争は続く」と強調した。