シリアの死者1450人超=少数派へ報復か、治安悪化 2025年03月10日 16時53分

【イスタンブール時事】シリア北西部で6日から続く暫定政府の治安部隊とアサド旧政権残党の衝突で、在英のシリア人権監視団は10日、女性や子供を含む市民の死者が973人に達したと明らかにした。犠牲者の大半はアサド前大統領と同じ少数派のイスラム教アラウィ派の住民とされ、報復を受けたとみられる。同監視団によれば、治安部隊と旧政権支持勢力の交戦では双方合わせて480人以上が死亡。衝突に伴う死者は1450人を超え、国内情勢が急激に不安定化している。
シリア国営通信によれば、暫定政府の国防省報道官は10日、軍事作戦の終了を表明した。ただ、旧政権残党との戦闘が終息し、治安が回復に向かうかは不透明だ。
英BBC放送は、衝突現場一帯の路上には銃で撃たれて血を流した多数の遺体が散乱していると報じた。北西部タルトス県の住民はBBCに、襲撃してきた武装集団について「身元も言葉も分からなかった。ウズベク人かチェチェン人のようだった」と証言。「彼らには正規の治安部隊に属さないシリア人が付き添い、市民も殺害行為に加わっていた」と語った。
旧反体制派指導者としてアサド政権打倒を導き、自らはイスラム教スンニ派のシャラア暫定大統領は9日の演説で、「国家の分断を狙った内戦に陥る危険性に直面している」と指摘。国民の融和と分断克服を訴え、「市民の流血に関与した全ての者の責任を追及する」と強調した。