中国、対話掲げ出方探る=台湾は対米協調アピール―米新政権 2025年01月21日 18時04分

中国の習近平国家主席(EPA時事)
中国の習近平国家主席(EPA時事)

 【北京、台北時事】中国の習近平政権は20日に就任したトランプ米大統領を警戒している。トランプ氏は就任初日の対中関税発動を見送ったものの、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は21日の記者会見で「米国との相違点を適切に管理し、新たな出発点から両国関係を発展させる」と強調。対話を掲げて米側の出方を探りつつ、通商・安全保障面での摩擦軽減を図る考えだ。
 「(米中は)パートナーとなって共に成功できる」。習近平国家主席は17日、就任前のトランプ氏と電話会談し、「大国」の連携で生まれる実利に目を向けるよう訴えた。就任式には、習氏の「特別代表」として韓正国家副主席が出席。異例の高官派遣によって、米側との意思疎通を重視する姿勢を示した。
 トランプ氏は中国に対し60%の関税を課すと主張し、新政権には対中タカ派が並ぶ。習政権としては、米側の対中政策を見極めるとともに、トランプ氏が好むディール(取引)の材料を通商分野を中心に模索していく方針。早期の対面での首脳会談実現も視野に入れている。
 一方、習氏が統一を目指して圧力を強める台湾もトランプ氏の再登板に身構えている。有事の際の台湾防衛を明言したバイデン前大統領と異なり、トランプ氏が貿易などの対中取引のため台湾を見捨てるという見方は根強い。1期目のトランプ政権時代に台湾の外交部長(外相)などを歴任した李大維氏は地元紙聯合報で、台湾が米中の「カード」にされることに警戒感を示し、頼清徳政権に一層の対米連携を促した。
 米台関係強化の余地が大きいのは防衛分野だ。トランプ氏は「台湾はわれわれに防衛費を払うべきだ」と述べ、米国製武器の売却を狙い軍事費の増額を台湾に迫っている。頼総統は今月1日の演説で「引き続き予算を増やして国防力を強化し、国を守る決心を示す必要がある」と対米協調をアピールし、トランプ氏の就任前から先手を打っている。 

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