千葉「老舗牧場」インド進出へ=乳製品需要に着目、社会貢献も 2025年01月20日 07時33分
千葉県の老舗牧場運営会社が14億人超の人口を抱えるインドで事業に乗り出す。伝統的に旺盛な乳製品需要に着目し、同国のIT企業と組み、飼料の調達や乳牛の飼育、商品製造を行う。生産性が低い現地の小規模酪農家に日本のノウハウを伝え、所得押し上げにつなげる社会貢献にも力を注ぐ構えだ。
インドに進出するのは秋葉牧場ホールディングス(HD、秋葉秀威社長)。社の歴史は1887年創業の牧場にさかのぼる。多角的に事業を展開しており、100周年の節目に千葉県成田市で開業した観光牧場「成田ゆめ牧場」で特に知られる。
秋葉牧場HDはこのほど、インドで酪農家のIT化を推進する企業「ステラップス」と提携。同国南部ベンガルールで今春、牧場から商品製造に至る一体型の施設を稼働させる。日本から遠隔管理するなどハイテク技術を駆使。ジェラートなどをインドの高級ホテルに納入し、まずは自社製品のブランド価値を高める戦略だ。
一方、より効率的な日本式の酪農ノウハウを積極的に普及させ、現地酪農家の生産効率の改善を図る。子供たちが労働から解放され「学校で学び、知識や知恵を得て豊かになる」(秋葉社長)効果も狙うという。
酪農業界団体「中央酪農会議」は昨年12月、歯止めがかからない日本の酪農家の戸数減少について「酪農の生産基盤の危機」と強調。秋葉社長は、国外進出することで「結果を出し、それを見せたい」と、先駆的な役割を果たすことに意欲を示す。インドで日本の酪農家と協業する構想も描く。中央酪農会議は「(今回の進出は)前向きな明るい話題だ」(広報担当者)と話している。