トランプ関税、駆け引き開始=米の要求に報復も視野 2025年01月19日 17時23分
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領が掲げる高関税政策が早くも波紋を広げている。25%の関税を突き付けられたカナダとメキシコは米国の要求に応じる協力姿勢を示す一方、報復関税も検討。追加関税に反発する中国は、習近平国家主席がトランプ氏と協議した。米国と各国・地域の激しい駆け引きはすでに始まっている。
トランプ氏は昨年11月の大統領選勝利後、高関税をちらつかせて各国・地域に次々と要求を突き付けている。不法移民や合成麻薬「フェンタニル」の米国流入防止策が不十分なことへの対抗として、中国には10%、メキシコとカナダには25%の関税を課すと表明した。
カナダではトランプ氏への対応を巡り、政権内の対立が表面化。トルドー首相の辞意表明につながった。米国との対立を避けるため国境警備の強化などに応じる意向だが、「すべての選択肢がテーブルの上にある」(トルドー氏)と報復関税も辞さない考えだ。
米メディアによると、カナダの報復関税対象は1500億カナダドル(約16兆円)規模と、米国からの輸入額の約3分の1に上る。メキシコも「米国が関税を課せば、メキシコも導入する」(シェインバウム大統領)と強気の姿勢を崩していない。
トランプ氏はまた、中国に高関税を突き付けつつ、「ディール(取引)」も仕掛ける構え。財務長官候補のベッセント氏は16日の米上院公聴会で、第1次政権時の米中貿易協議で合意した米国産農産物の購入拡大の履行を中国に迫る可能性に言及した。中国は米国の強硬姿勢に反発を強めており、関税の応酬となる「貿易戦争」が再燃する恐れがある。
トランプ氏は全輸入品への10~20%の一律関税も主張しており、影響は日本を含めて全世界に及ぶ。グランシャ国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストは「貿易政策の不確実性の高まりは、多くの国で需要低迷をもたらす」と指摘。世界経済が打撃を受けると警鐘を鳴らしている。