グリーンランド領有発言で動揺=トランプ氏対応に苦慮―デンマーク 2025年01月11日 14時25分
【ロンドン時事】トランプ次期米大統領が最近、デンマーク領グリーンランドの領有への意欲を重ねて示していることで、デンマーク国内に動揺が広がっている。政府は「言葉の戦争をエスカレートさせるつもりはない」(ラスムセン外相)という立場で穏便に対応する方針だが、トランプ氏への対応に苦慮しているのが実情だ。
トランプ氏は、ロシアや中国の脅威に対する安全保障上の理由からグリーンランドの領有が必要だと主張。軍事的圧力をかける可能性を排除しない一方、デンマークが反対する場合、関税引き上げ措置を取る考えを示唆した。
英BBC放送によると、デンマークのフレデリクセン首相は地元テレビで「米国がグリーンランドを(武力を通じて)獲得する事態は想像を超えている」と述べ、要求を一蹴。デンマーク産業連盟のソーレンセン会長も「貿易戦争をしたい人はいない。落ち着くことが最善」と述べ、経済面での影響が出ることへの不安払拭に努めた。
フレデリクセン氏は9日、与野党党首らを集めた特別会合を開いて対応を協議。会合後、トランプ氏に会談を申し入れたと明らかにし、20日の米大統領就任後に実現させたい意向を表明した。
グリーンランドを巡っては、トランプ氏が第1次政権下の2019年に買収を主張した際、フレデリクセン氏が「ばかげている」と拒絶。これに立腹したトランプ氏がデンマーク訪問を取りやめた経緯がある。