次期米政権、経済の陣容固まる=主要閣僚に金融界出身「側近」 2024年11月27日 16時02分
【ワシントン時事】トランプ次期米政権の経済を担当する陣容が26日、ほぼ固まった。経済・財政政策運営の要となる財務長官には投資ファンド経営者のスコット・ベッセント氏、通商・産業政策を指揮する商務長官には投資銀行トップのハワード・ラトニック氏を起用。ウォール街(米金融街)に顔が利く金融界出身の「側近」を配した形だ。
トランプ氏は大統領選で、減税や関税引き上げを「看板政策」として訴えた。米債務が膨張の一途をたどる中、ベッセント氏は財政赤字を制御しつつ、減税や規制緩和による経済成長の促進を目指す。通商・関税政策はラトニック氏と、通商代表部(USTR)代表に指名されたジェミソン・グリア氏が中心となる。
次期政権の経済・財政政策における「ヤマ場」は、第1次トランプ政権で実現した大型減税を巡る対応だ。2025年末に失効する同減税の延長や、選挙戦で訴えた飲食店店員へのチップや社会保障関連給付金、残業手当の非課税化が焦点となる。
ホワイトハウスで経済政策を調整し、かじ取りを担う国家経済会議(NEC)委員長には、共和党に近いエコノミストのケビン・ハセット氏が指名された。同氏は、第1次政権で閣僚級の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長として大型減税の成立に尽力した実績がある。トランプ氏は「われわれは共に大型減税を改善する」と期待を寄せる。
減税などには、関連法案の議会通過が不可欠だ。今月の選挙で共和党が上下両院を制したが、共に辛うじて過半数を確保している状況。財政赤字や債務の削減を重視する共和党議員は多く、ベッセント氏らの政策運営手腕が問われる。
また、規制緩和や歳出削減が進むかは、実業家のイーロン・マスク氏やビベク・ラマスワミ氏がトップを務め、行政の無駄を省くことを目指す「政府効率化省」が実効性のある改革を打ち出せるかもカギを握りそうだ。