台湾「日本の政策変化」歓迎=海自艦が海峡通過、G7で6カ国目 2024年10月06日 17時58分

台湾の有力シンクタンク「国策研究院」の郭育仁副院長=9月30日、台北市
台湾の有力シンクタンク「国策研究院」の郭育仁副院長=9月30日、台北市

 【台北時事】海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が先月、中国と台湾の間の台湾海峡を初めて通過したことを受け、台湾では日本の安全保障政策の変化とみて歓迎する声が広がった。日本政府が通過を公式に認めていないため台湾当局もコメントを控えているが、専門家は「日本が地域の大国として、台湾海峡が『国際水域』という明確なメッセージを中国に送った意義は大きい」と評価する。
 台湾海峡では近年、「国際水域」とみなし「航行の自由」作戦を実施する米国に加え、カナダや英国、フランスなど多くの外国軍艦が通過している。台湾の有力シンクタンク「国策研究院」の郭育仁副院長は米国の台湾海峡通過の意図に関し「有事の際には米軍が国際水域を守る名目で介入可能(という警告)だ」と解説する。軍事専門家によると、通過した国はこの1年間で9カ国に上り、日本を含む3カ国が初めてだった。先進7カ国(G7)では日本が6カ国目となる。
 こうした動きの背景には、東アジアで軍事活動を活発化させる中国に対する危機感がある。しかし中国は台湾海峡を内水(自国の水域)と主張し、外国軍艦の通過は中国の主権を脅かす動きだと強く反発している。台湾は、台湾海峡を重要なエネルギー供給の要衝とする日本と韓国の海峡通過を期待してきたが、両国は中国との関係悪化を懸念し控えてきた。
 郭氏は海自艦が通過に踏み切ったことについて「日本政府は台湾海峡の平和の重要性を国際社会で明言し始めている。計画的な行動で、相次ぐ中国による領空・領海侵犯が決定的な引き金となった」と分析。台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院国防戦略・資源研究所」の蘇紫雲所長は「日本の態度の象徴的な変化だ」と指摘した。 

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台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院国防戦略・資源研究所」の蘇紫雲所長=9月30日、台北市
台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院国防戦略・資源研究所」の蘇紫雲所長=9月30日、台北市

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