EV供給網、中国を排除=過剰生産、安保を懸念―米政権 2024年09月24日 14時16分

中国・比亜迪(BYD)のショールームで、電気自動車(EV)を見る客=北京(EPA時事)
中国・比亜迪(BYD)のショールームで、電気自動車(EV)を見る客=北京(EPA時事)

 【ワシントン、ニューヨーク時事】バイデン米政権は、普及が進む電気自動車(EV)に関するサプライチェーン(供給網)から、中国の排除を進める方針だ。過剰生産された安価な中国製EVや部品が流入すれば、米自動車業界に深刻な打撃を与えると懸念。車両に搭載された中国製の通信や自動運転システムが情報収集などに悪用され、安全保障を脅かしかねないと警戒している。
 「北米の供給網に国有企業や懸念される外国企業が存在しないようにする」―。ホワイトハウスのブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は23日、自動車産業が集積するミシガン州デトロイトで講演し、名指しは避けつつも、供給網から中国を締め出す考えを示した。
 ブレイナード氏は、2026年に予定されている貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直しで「過剰生産への対応が主要論点になる」と説明。メキシコ、カナダを経由して入ってくる中国製品への対策を講じる可能性も示唆した。
 米政府は23日、中国やロシア企業に関係がある自動運転技術や通信システムを搭載した「コネクテッドカー(つながる車)」の輸入・販売を原則禁じる規制案を発表。27日には、対中制裁関税を大幅に引き上げ、EVは現行の4倍となる100%、EV用リチウム電池は3倍超の25%とする予定だ。
 米国では現在、EVも含め中国車はほとんど走っていない。しかし、安価な中国製EVが急速に存在感を増す欧州を「教訓」(レモンド米商務長官)に、先手を打って流入を阻止する構えだ。
 日系自動車各社は、中国の新疆ウイグル自治区の強制労働問題や米中対立を受け、中国製部品などの利用を減らしている。ただ「下請け企業まで考えれば、中国製が入っている可能性はある」(日系メーカー関係者)との声もあり、各社は慎重に影響を調べる考えだ。
 11月の大統領選では、民主党候補のハリス副大統領、共和党候補のトランプ前大統領とも対中強硬姿勢を示しており、選挙結果にかかわらず、対中規制強化の流れは続きそうだ。 

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