刷新期待も手腕未知数=再建策見直しか、新大統領就任―スリランカ 2024年09月23日 19時12分

23日、スリランカの最大都市コロンボで就任宣誓式に臨むディサナヤカ新大統領(手前)=大統領府提供(AFP時事)
23日、スリランカの最大都市コロンボで就任宣誓式に臨むディサナヤカ新大統領(手前)=大統領府提供(AFP時事)

 【ニューデリー時事】スリランカ大統領選を制した左派野党・人民解放戦線(JVP)のディサナヤカ党首(55)が23日、新大統領に就任した。汚職撲滅と政治改革を訴え、国内には刷新への期待感があるが手腕は未知数。経済再建策の見直しで混乱が生じる可能性もある。
 「政治家への国民の全幅の信頼を取り戻すため、全力を尽くす」。AFP通信によると、ディサナヤカ氏は最大都市コロンボの大統領府で行われた就任宣誓後、そう強調した。
 同氏率いるJVPは穏健化したとはいえ、かつて多数派シンハラ人の民族主義を掲げる極左勢力だった。1970~80年代に2度の反政府暴動を引き起こし、多数の死者を出した。
 地元シンクタンク「国家平和評議会」のジェハン・ペレラ理事長は「JVPは潜在的な過激組織と見なされていたが、今回は違った。国民は主流政治にうんざりしていた」と勝因を分析。2022年、経済危機を受けた抗議デモの高まりで当時の大統領が失脚したものの、与党が変わらなかったことへの不満も大きかったと語った。
 一方、ディサナヤカ氏は国際通貨基金(IMF)による支援プログラムの見直しを公約に掲げる。主要債権国の一つである日本側には、貸し付けた資金の返済時期や再開したばかりの円借款事業への影響を危惧する声もある。
 外交スタンスにも不透明さがある。スリランカはシーレーン(海上交通路)の要衝にあり、隣国インドや中国が浸透を競ってきた。JVPのイデオロギーや反インドを掲げてきた経緯から中国への接近を強めるとの見方もあるが、外交筋はディサナヤカ氏が今年2月に訪印するなど最近の外遊を踏まえ、印中間でバランスを取る「中立路線の基本は維持されるだろう」と話した。 

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