米、イスラエル拠点の減少打診=駐留継続と見なし「拒否」―ハマス最高幹部 2024年09月20日 20時01分
【ドーハ時事】イスラム組織ハマスの政治部門最高幹部の一人ムーサ・アブマルズーク氏は19日、拠点とするカタールの首都ドーハで時事通信のインタビューに応じた。パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるハマスとイスラエルの停戦に関し、仲介役の米国がイスラエル軍の駐留拠点を大幅に減らすことを打診してきたが、「拒否した」と明らかにした。
ガザでの停戦交渉は停滞し、米国など仲介国は新たな停戦案を検討中。アブマルズーク氏は、新提案はまだ示されていないものの、仲介国を通じて米国が最近、ガザ南部の対エジプト境界地帯でのイスラエル軍の駐留拠点を22カ所から4カ所に減らす「アイデア」を示してきたと明かした。
アブマルズーク氏はこれに関し、駐留継続に固執するイスラエルのネタニヤフ首相の求めに従う内容であり、「われわれは拒否した」と説明。「米国は和平を語りながらイスラエルに武器を送り、交渉を永遠に続けたいようだ」と米国を非難した。
停戦を巡っては、この「アイデア」とは別に、ハマスの武装解除やハマスの代替勢力によるガザ統治を条件に戦闘を終結させるとする案が、イスラエルから米国に提示されたとも伝えられている。
アブマルズーク氏は、これについても「ハマスがこうした条件を受け入れなければならないほど打ち負かされているというのか」と反発。「軍事部門を伴った形でハマスがガザを統治するかどうかは、戦後に明らかになる」と語り、停戦と引き換えの武装解除は受け入れられないとの考えを示した。
ハマスによるイスラエル奇襲によって始まったガザでの戦闘は、10月で1年となる。アブマルズーク氏は、「忘れ去られていたパレスチナ問題」に奇襲以降、世界の注目が集まったと述べ、「パレスチナ独立へと通じる道だ」と、対イスラエル闘争の正当性を強調した。
一方で、ガザが受けた損害は大きく「困難な1年だった」と指摘。「誰も流血の継続は望まない」としつつ、戦闘終結にはイスラエル軍がガザから完全撤退する必要があると改めて主張した。