日本への侵犯「常態化」も=ロシアと連携、日米比に対抗―中国専門家 2024年09月14日 14時27分
【北京時事】中国軍が日本周辺の海・空域で威圧的行動を強めている。8月下旬に軍用機や軍艦艇を日本の領空・領海に相次いで侵入させ、今月には日本海でロシア軍と合同演習を実施。中国の専門家は、日本を対象にした軍事的威嚇や侵犯行為が今後「常態化」する可能性があると指摘している。
日本の防衛省によると、8月26日に長崎県の男女群島沖で中国軍のY9情報収集機1機が領空を侵犯し、同31日には鹿児島県の屋久島周辺の領海に中国海軍の測量艦1隻が侵入した。中国は領空侵犯の意図を否定し、測量艦が通過した海域も「国際海峡」だったと主張。日本政府は同海域を国際海峡と認めておらず、いずれの侵入も偵察や軍事情報の収集が目的だったとの観測が出ている。
中国の軍事専門家・宋忠平氏は、中国に対する日米の偵察行動が強化されているとした上で、「中国からすれば同じことをする権利が自国にもあるということだ。海・空軍による同様の動きは今後、日常化していくだろう」と分析。「国際海域から日本や米軍基地への接近偵察を行っても、国際法違反ではない」との見方を示した。
香港の著名評論家である劉鋭紹氏は、中国軍の動きの背景には、アジア太平洋における「西側諸国の連携」への危機感があるとみる。中国は領有権を主張する南シナ海でもフィリピンと衝突を繰り返しており、日米比などが防衛協力強化を急いでいる。地域の対中包囲網が急速に狭まる中で、「中国は早期に(警告の)シグナルを発する必要があった」と話す。
中国が日米比への対抗軸として軍事協力を強めているのが、ロシアだ。中ロ両軍は今月、日本海やオホーツク海などで合同演習やパトロールを実施。両軍は7月にも「海洋安全保障上の脅威への共同対処」を名目に、南シナ海で演習を行った。
中国の習近平国家主席は10月、新興国グループ「BRICS」首脳会議に合わせてロシアを訪れ、プーチン大統領と会談する意向だ。5カ月あまりで3回目の対面会談となり、対米共闘の観点から改めて両国の結束を誇示するとみられる。