米大統領選前に核生産能力誇示か=正恩氏のウラン濃縮施設視察公表―北朝鮮 2024年09月13日 15時53分
【ソウル時事】北朝鮮メディアは13日、金正恩朝鮮労働党総書記が核兵器の原料を生産するウラン濃縮施設を視察したと伝えた。施設の視察公表は初めて。韓国の専門家は、11月の米大統領選を控えて核兵器の生産能力を誇示する狙いとみている。
朝鮮中央通信によると、正恩氏は核兵器研究所と兵器級核物質の生産基地を訪れ、核弾頭製造に使う高濃縮ウランを生産する施設を視察した。同通信は、濃縮のための遠心分離機がある施設内部を正恩氏が見て回る写真も配信した。
施設の制御室や生産工程を視察した正恩氏は「見ているだけでも力が湧いてくる」と満足の意を示した。「核兵器を幾何級数的に増やすには、兵器級核物質生産の土台を強化すべきだ」と主張し、遠心分離機の増設を指示した。
正恩氏は「最近の米国の核による脅しは、レッドライン(越えてはならない一線)を越えている」と非難し、核兵器増産で対抗する方針を強調した。戦術核製造に必要な核物質の生産に「総力を集中する」ことも求めた。
韓国政府系シンクタンク、統一研究院の洪※(※王ヘンに民)先任研究委員は、米大統領選に向けた「対米メッセージだ」と分析。「米国の次期政権に北朝鮮の非核化は不可能だと考えさせ、核保有国として認めさせようとしている」と指摘した。韓国統一省は声明で「韓国と国際社会は北朝鮮の核保有を決して容認しない」とけん制した。