西部の10集落奪還=ウクライナ軍越境の占領地―ロシア 2024年09月13日 15時01分

ロシア国防省庁舎=5月14日、モスクワ(AFP時事)
ロシア国防省庁舎=5月14日、モスクワ(AFP時事)

 ロシア国防省は12日、西部クルスク州でウクライナ軍に占領された地域のうち10集落を奪還したと発表した。ウクライナ軍が8月6日に越境攻撃を開始してから1カ月余り。侵攻下の同国東部ドネツク州に猛攻撃を加えているロシア軍は、遅れが指摘されていた本土奪還作戦に本格着手したもようだ。
 ウクライナ軍はこれまで、クルスク州の約1300平方キロ、100集落以上を制圧したと主張してきた。米シンクタンク戦争研究所は12日、ロシア軍が10日以降に奪還したのは58平方キロと推定し「ロシアが得たのはわずか」と報告した。
 AFP通信などによると、ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、キーウ(キエフ)で開かれた会合で、越境攻撃について、ウクライナ東部でのロシアの進軍を遅らせるという「想定通りの結果をもたらした」と強調。ロシア軍の奪還作戦に関しては、これまでのところ大きな成功を収めているとは言えないとの見方を示した。
 ドネツク州の前線で劣勢が続いたウクライナは、11月の米大統領選で「即時停戦」を掲げるトランプ前大統領が返り咲き、不利な状況で対ロ交渉を強いられる事態を懸念。クルスク州の制圧地域を「カード」とし、将来の和平合意で優位な条件を引き出す思惑があるとみられてきた。
 総兵員数は、ロシアがウクライナをしのぐ。仮にウクライナがクルスク州への足掛かりを失えば、越境攻撃の背景にある戦略が水泡に帰す恐れがある。ドネツク州では苦戦していた防御がさらに手薄になり、ポクロフスク方面でロシア軍の猛攻を許している。 

海外経済ニュース