ベラルーシ、対日批判続ける=邦人拘束判明から1週間―プーチン政権に同調 2024年09月10日 14時39分
ロシアの同盟国ベラルーシで、南東部ゴメリ州在住の中西雅敏さんの拘束が明らかになって、11日で1週間。ベラルーシは日本と縁遠い東欧の旧ソ連構成国だが、拘束を正当化するかのように米国の同盟国・日本への批判キャンペーンを展開している。ウクライナ侵攻に絡み、日本を「非友好国」に指定するロシアのプーチン政権に同調した格好だ。
7月に拘束された中西さんには「スパイ容疑」がかけられている。国営テレビが今月4日、「日本の情報工作員」に関するドキュメンタリー番組の予告編を伝え、事件が公になった。日本政府は外交ルートを通じ、翌5日の本編放映を中止するよう申し入れたが無視された。ベラルーシ外務省は6日、山本広行・駐ベラルーシ大使を呼んで「日本のスパイ活動」と「放送への抗議」に反発した。
ベラルーシ側は、その後も対日批判を執拗(しつよう)に続けている。国営テレビが8日に放送した約5分半の「ニュース解説」では、看板キャスターが「かつてわが国と日本の関係は強化されていた」と述べた上で、それを壊した黒幕は米国だと主張。「日本は北大西洋条約機構(NATO)が中ロに対抗するための極東の拠点となった。もはや米国の同盟国というより、操り人形だ」とこき下ろした。
「日本は今も米国の占領下だ」「日本は独立した政策を取れる主権国家ではない」。国営テレビは6日の討論番組でも、下院議員の発言を紹介。ドキュメンタリー番組の放映強行に続き、畳み掛けるように日本バッシングを繰り広げた。
ベラルーシは「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領が統治する。2020年大統領選での不正疑惑を巡る大規模な抗議デモを弾圧し、欧州連合(EU)などとの関係が悪化。その際も、今回の対日批判と同様の対外宣伝を強めた。22年に始まったウクライナ侵攻でロシアに協力したとして、国際社会から厳しい目が向けられる中、西側諸国への対決姿勢を続けている。