拘束邦人「スパイ容疑」で捜査=供述放映、LINEさらす―ベラルーシ 2024年09月06日 19時46分

ベラルーシ国家保安委員会(KGB)の本部庁舎=2023年2月、ミンスク(AFP時事)
ベラルーシ国家保安委員会(KGB)の本部庁舎=2023年2月、ミンスク(AFP時事)

 ベラルーシ国営テレビは5日、同国で「日本の情報工作員」として拘束された中西雅敏さんに関するドキュメンタリー番組を放送した。この中で国家保安委員会(KGB)は「スパイ容疑」で捜査中と説明。当局者は「軍事情報を集め、日本の情報機関に送った」と主張したが、容疑の一部がこじつけである側面も浮かび上がっている。
 番組は約16分。林芳正官房長官は6日の記者会見で、5日に外交ルートで放送中止を申し入れたが、無視されたとして「直ちに抗議した」と明らかにした。
 放送された映像には、中西さんが尾行に気付かずに公共交通機関を撮影する様子や、7月にKGBに拘束されて車両に乗せられる瞬間が映っている。手錠をはめられ、ロシア語でカメラを前に「ウクライナ国境に行った」とメモを読み上げるように供述している。
 番組では「国家公安委員会」が日本の情報機関とされるなど、不正確な点が多い。LINEの画面も映され、中西さんは知人に「(貨物列車が)軍用車を搭載していた」と見たままの状況を伝えていた。こうした日常的なやりとりがスパイ容疑にこじつけられた可能性がある。
 中西さんはロシア軍のウクライナ侵攻の経由地である南東部ゴメリ州でベラルーシ人の妻と生活し、日本語講師を務めていた。 

海外経済ニュース