米政府、「安保上のリスク」警告=日鉄のUSスチール買収―ロイター報道 2024年09月05日 16時15分

 【ワシントン時事】ロイター通信は4日、米政府が日本製鉄に対し、米鉄鋼大手USスチールの買収は米鉄鋼産業に打撃を与え、安全保障上のリスクになると警告する書簡を送付していたと報じた。複数の関係者の話として伝えた。バイデン大統領は近く、正式に買収阻止を発表するとみられている。
 11月の大統領選を控え、民主党のハリス副大統領、共和党のトランプ前大統領ともに買収計画に反対を表明。計画に反発する全米鉄鋼労組(USW)に配慮を示し、労働者票の取り込みを図っている。
 報道によると、書簡は8月31日付。買収に伴い、USスチールは不公正な貿易慣行などに対して救済措置を積極的に要請するのが難しくなると指摘した。買収計画を審査している米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が「安保上のリスクを特定した」とも記しているという。
 日鉄とUSスチールはこれに対し、計画が実現しなければ、高炉施設の休止や失業につながり、鉄鋼供給にも悪影響を与えると回答。「事実や法律、安保上の利益ではなく、政治や第三者による利己的な目的に基づいている」と批判した。
 日鉄は5日、「法にのっとり適正に審査されると強く信じている」とのコメントを発表。CFIUSの審査結果はまだ受領していないと説明している。 

海外経済ニュース