トランプ氏、戦略に迷い=無党派と保守派の板挟み―米大統領選 2024年09月04日 14時51分

トランプ前米大統領=8月29日、中西部ミシガン州ポッタービル(AFP時事)
トランプ前米大統領=8月29日、中西部ミシガン州ポッタービル(AFP時事)

 【ワシントン時事】米大統領選を2カ月後に控え、共和党のトランプ前大統領(78)の選挙戦略に迷いが生じている。民主党のハリス副大統領(59)との激しい競り合いが予想される中、勝負を左右する無党派層への訴求は不可欠。一方で、穏健な政策に寄れば「岩盤支持層」である保守派の離反を招く。攻め手に悩み、個人攻撃に頼るのが現状だ。
 「私の政権では体外受精にかかる全費用を政府が支払うか、保険会社に支払うよう義務付ける」。トランプ氏は8月29日、中西部ミシガン州の集会で、体外受精の無償化を約束した。支持基盤のキリスト教保守派は倫理的観点から体外受精に批判的で、無党派層の取り込みを意識したことは明らかだ。
 同日には、妊娠6週以降の人工妊娠中絶を事実上禁止する南部フロリダ州法について、「6週間は短過ぎる」と言及。フロリダでは11月、中絶規制を緩和するための州憲法改正案が住民投票にかけられる予定で、居住するトランプ氏は賛成票を投じる意向を示したと受け止められた。中絶の権利擁護は、有権者の多数派が賛同している。
 ところが、一連の動きに中絶反対派の有力団体が「裏切りだ」とトランプ氏への投票拒否を示唆。同氏は翌30日、FOXテレビのインタビューで「反対票を投じる」と翻意し、中絶規制を巡る迷走ぶりが目立つ結果となった。
 トランプ氏は最近、フロリダで医療用のみ使用が認められている大麻についても、嗜好(しこう)目的での使用合法化を容認する姿勢を打ち出した。大麻合法化は世論の支持が高いが、保守派の反対は根強い。
 政策面で綱渡りを余儀なくされるのは、ハリス氏の猛追を受けた焦りの裏返しでもある。ハリス氏に「共産主義者」のレッテルを貼って急場をしのぎつつ、試行錯誤は続く。 

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