汚職容疑の野党党首釈放=「嫌疑不十分」、検察は抗告へ―第3勢力に広がる失望―台湾 2024年09月02日 18時23分

2日、台北地裁周辺に集まった支持者らに話し掛ける台湾第2野党・民衆党の柯文哲主席(党首、中央右のマイクを持つ男性)(EPA時事)
2日、台北地裁周辺に集まった支持者らに話し掛ける台湾第2野党・民衆党の柯文哲主席(党首、中央右のマイクを持つ男性)(EPA時事)

 【台北時事】台湾第2野党・民衆党の柯文哲主席(党首、65)が逮捕された汚職事件で、台北地裁は2日未明、検察の勾留請求に対して嫌疑不十分と判断し、柯氏の釈放を決めた。ただ、潔白が証明されたわけではなく、検察は抗告する方針。釈放されたとはいえ、既存の二大政党に対抗する第3勢力として存在感を高めてきた柯氏への有権者の失望感は広がっている。
 柯氏は台北市長時代の2020年、商業施設の再開発に絡み業者へ便宜を図った疑いが持たれている。台湾メディアによると、同施設の容積率が急激に引き上げられたため、当時から不正を疑う声が出ていた。検察は今年8月30日に柯氏の自宅や事務所を家宅捜索し、31日に汚職容疑で逮捕。勾留請求に当たり収賄の疑いもあると説明していた。
 地裁は2日、容積率の引き上げを違法と認定した。ただ、柯氏は引き上げを協議した都市計画委員会に参加せず専門家らに任せていた立場で、検察の証拠資料では「違法性を知っていたと認められない」と判断した。一方、同委トップだった当時の台北副市長については勾留を決定した。
 柯氏は2日未明に釈放されると、地裁周辺に集まった支持者ら数百人を前に「(検察が)うそのストーリーを作り上げた。極度の抑圧といじめを受けた」と主張。民衆党は、家宅捜索や未明に及ぶ長時間の聴取など捜査の不当性を訴えている。
 柯氏が創設した民衆党は、与党・民進党と最大野党・国民党に不満を持つ若年層を中心に支持を獲得してきた。しかし、柯氏に政治献金や選挙補助金などに関係する疑惑が相次ぎ、清新なイメージは著しく損なわれている。総統を目指してきた柯氏にとって、厳しい状況が続きそうだ。 

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