ウクライナ「プーチン氏逮捕を」=ICC加盟モンゴル訪問 2024年09月02日 16時10分

ロシアのプーチン大統領(右)と握手するモンゴルのフレルスフ大統領=7月3日、カザフスタンの首都アスタナ(AFP時事)
ロシアのプーチン大統領(右)と握手するモンゴルのフレルスフ大統領=7月3日、カザフスタンの首都アスタナ(AFP時事)

 ロシアのプーチン大統領は2日夜(日本時間同)、国際刑事裁判所(ICC)加盟国モンゴルを公式訪問した。日程は3日まで。ICCは昨年3月、ウクライナ侵攻に絡む「戦争犯罪」でプーチン氏の逮捕状を発出。ICC設立条約を批准した国は容疑者を拘束する義務を負っており、ウクライナ政府は「逮捕状を執行してICCに引き渡す」ようモンゴルに促している。
 「心配していない」。ロシアのペスコフ大統領報道官は8月30日、記者団に対し、プーチン氏がモンゴルで逮捕される可能性を考慮していないとの認識を示した。訪問が「入念に準備された」と説明し、両国間に身の安全を保証する約束があることを示唆した。
 一方、ウクライナ外務省は同30日の声明で「プーチン氏が戦争犯罪者であるという事実をモンゴルが認識していることを望む」と強調。「容疑」である子供連れ去り問題などを傍観しないよう、くぎを刺した。
 現職の国家元首が戦争犯罪でICCから逮捕状を出されながら、加盟国に足を踏み入れた例は過去にもある。南アフリカは2015年、スーダンのバシル大統領(当時)の訪問を受け入れた際、身柄を拘束せず国際的な非難を浴びた。
 今回、逮捕状を黙殺するかのようなモンゴルの対応に、疑問の声が噴出している。英BBC放送によると、ICC報道官は「加盟国には協力する義務がある」と呼び掛けた。
 プーチン氏は極東ウラジオストクで開催される東方経済フォーラムへの出席前、モンゴルに立ち寄った。1939年に当時の満州国(現中国東北部)とモンゴルの国境で日本軍とソ連軍が衝突した「ノモンハン事件」から85年に合わせ、フレルスフ大統領と共に「対日戦勝」記念式典に出席。北方領土問題の解決を求める日本をけん制する見通しだ。 

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