国勢調査で性自認質問へ=賛否両論、迷走の末―豪 2024年08月31日 14時09分

オーストラリアのアルバニージー首相=28日、トンガ・ヌクアロファ(EPA時事)
オーストラリアのアルバニージー首相=28日、トンガ・ヌクアロファ(EPA時事)

 【シドニー時事】オーストラリアのアルバニージー首相は31日までに、2026年実施の次回国勢調査に性自認に関する初の質問を含めるよう統計局に指示した。LGBTQなど性的少数者の人数を把握し、政策に反映させる狙い。ただ、賛否両論があり、政府内で対応が二転三転するなど迷走の末に決着した。
 国勢調査は5年に1回。労働党は政権を奪取した22年総選挙の際に、性自認の質問を新設すると公約し、23年の党大会で再確認していた。しかし、政府は今年8月後半、保守勢力の反発を恐れて見送る方針を固め、副首相や財務相らが「国民の分断を招くべきではない」と主張した。
 これに人権団体や党内左派議員が「性的少数者を無視するのか」と猛反発。性差別に関する法整備や政策の監視に当たる政府の性差別監督官も、再考を求めた。アルバニージー氏は30日、「価値観の変化を質問に反映させるのは常識だ」と一転して質問を加えると表明。試験調査を実施して具体的な質問内容を詰めると約束した。
 保守系の最大野党・自由党のダットン党首は「従来の質問で差し支えない」と訴えていた。急な方針転換を受け、「この政権は車輪が外れているようだ」と批判した。 

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