ブラジル最高裁、Xサービス停止命令=アカウント凍結拒否―マスク氏「言論の自由破壊」と批判 2024年08月31日 06時05分
【サンパウロ時事】ブラジル連邦最高裁判所は30日、米実業家イーロン・マスク氏がオーナーを務めるX(旧ツイッター)に関し、ブラジルでのサービス停止を命じた。同裁が命令した一部利用者のアカウント凍結に応じなかったためで、マスク氏が「検閲」として拒否した騒動は、異例の事態に発展した。
Xはブラジルではルラ大統領も積極的に活用。人々の生活に根付いており、今回の決定は大きな影響を与えそうだ。
マスク氏は最高裁の決定を受けて、Xに相次ぎ投稿した。「言論の自由は民主主義の根幹だ。選ばれていない偽の裁判官が政治目的で破壊しつつある」と批判。「ブラジルで一番の真実の源が閉鎖される」とも嘆いた。
最高裁はこれまでに、2022年のブラジル大統領選に絡んだ捜査の一環として、Xへの投稿で偽情報などを流した利用者のアカウント凍結を命令。応じなければ罰金も科すと通知した。
命令を拒否していたXは8月、法定代理人が逮捕されるとの通告が最高裁からあったとして、ブラジル事業の閉鎖を発表。最高裁は28日、新たな代理人を指名しなければ、Xのサービスを停止させると警告していた。
最高裁のモラエス判事は30日、裁判所がXに出した命令が順守され、罰金が支払われるまでブラジルでのXの「即時かつ全面的な停止」を命じた。科された罰金は累計で1800万レアル(約4億7000万円)を超えている。
モラエス氏はXの「利用禁止」を徹底するため、携帯電話の「基本ソフト(OS)」を提供する米アップルとグーグルに対して、Xのアプリが利用できなくなる措置を講じるよう命令。特殊な技術を使って遮断を回避してXの利用を続ける個人や企業に対しては、1日当たり5万レアル(約130万円)の罰金を科すとしている。その後、「不必要な混乱を避ける」としてアップルとグーグルへの命令は停止した。